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ひろがり、循環する活動の輪│キッズドア仙台教室を訪れて

  • 2025年7月18日
  • 読了時間: 9分

「ORBIS ペンギンリング プロジェクト」――未来を担う子どもたちを、お客様とともに、パートナー団体へのポイント寄付やコラボ商品のご購入を通じた支援など様々な形で応援する取り組みです。

皆様にご支援を呼びかける中、その活動の内容についてまだよく分からないという声も頂いています。そこで、今回私たちオルビスは、パートナー団体の一つである「認定NPO法人 キッズドア(以下、キッズドア)」の仙台教室へ足を運びました。キッズドアは、様々な事情で塾などに通うことが困難な子どもの学習支援や居場所の提供など、多角的に子どもを支え、自立に繋げる活動を行っています。


仙台教室を訪問させていただいたのには理由があります。


普段、都内近郊の活動の様子をお届けする機会が多い私たちですが、地方ではどのような生徒がキッズドアの活動に参加しているのか、そこに強く興味を持ちました。多くの支援団体やその活動がある東京と、何か差や課題はあるのでしょうか。

仙台教室でお話を伺うと、その答えが明らかになりました。


皆様も一緒に、地方都市の活動の様子を垣間見ていただければ幸いです。




仙台に拠点を置いた背景――震災をこえて

2025年7月初旬の夕方、私たちは宮城県仙台市を訪れました。

日が落ちかけていても、街頭の温度計は30℃の表示。じんわりと汗ばむ空気をかき分けるように仙台駅前から10分ほど歩いたところに、キッズドア仙台教室がありました。

扉を開けると、手作りの名札や出席票が並ぶ棚の先から「ようこそ」と、代表の對馬(つしま)さんがあたたかく出迎えてくれました。



室内の広さは学校の教室くらい。机と椅子が並べられ、塾のような雰囲気ですが、生徒とボランティアさんの談笑する声が聞こえてくる明るい雰囲気の空間。生徒は中高生で、ボランティアは大学生から年配者まで幅広い年代の方がいらっしゃいました。


まず目に飛び込んだのが、生徒たちがボランティアスタッフに積極的に話しかけている風景。

直感的に、生徒とボランティアスタッフの間には「先生と生徒」以上の絆があるのではと感じさせられました。



改めて對馬さんと挨拶をし、キッズドア仙台教室について伺いました。

對馬さんのお話では、キッズドアが仙台を訪れたのは東日本大震災がきっかけ。

キッズドア自体も立ち上げて数年というまだ新しい団体だった頃のことです。

「何ができるかわからないけれど、まず被災した現地を見て、自分たちがやれることを考えよう」という心構えで、東北の地を訪れました。

避難所をめぐり、仮設住宅の子どもの見守りや復興人材の育成ワークショップなどを経て、だんだん活動の規模が大きくなってきたところで拠点を置くことにしました。

仙台を選んだ理由は、東京からのアクセスの良さ。また、東北の他の地域からも通いやすいため、他県から来る生徒の受け入れもしやすかったことが挙げられました。

「震災直後からの3年間、車で移動しながら避難所へ訪問支援などを行っていました。また、学校単位で放課後に支援員が勉強のサポートなども行っていました」。


仙台教室には年間で約30名~40名程度の新規申込があるそうで、多い年で約100名が在席しています。對馬さんは、今までに約500名程度の生徒を見てきたそうです。

最初に感じられた教室の楽しげな空気は、どのようにして作られているのでしょうか。

私たちは、對馬さんからある学生ボランティアを紹介して頂きました。

彼の名前は鈴木 海生(すずき かいせい)さん。現在大学2年生で、実はこの仙台教室の卒業生でもあります。

キッズドアを卒業して、再び指導する側としてキッズドアに戻ってきた彼に、心境をインタビューしました。



キッズドアだからこそ気付けた自分の未来


――鈴木さんがキッズドアでボランティアをしようと思ったきっかけは何ですか。

自分が学んだことを誰かに伝えることで、自分が成長できると思ったのが大きな理由です。生徒たちに勉強を教えることは、自分にとっても基礎的な学習の知識の再確認をすることになるので、ためになります。

また、コミュニケーション力を上げたいとも思っていたのでぴったりの環境でした。


こちらの質問に対して、まっすぐはっきり、そして丁寧に答えてくださいました。

彼がキッズドアとその活動を信頼していることが強く伝わって来るようです。


――キッズドアを知ったきっかけは何でしたか。

母に勧められました。正直、当時とてもテストの点数が悪かったのですが塾に行くとお金がかかります。大学進学を目指していることを口にするのもためらわれるような状況でした。その時、無償で勉強を教えてくれるキッズドアを母が見つけてくれたんです。塾のような緊張感のある空間を想像して訪れてみたら、とてもあたたかい雰囲気だったことに驚き、すぐに気に入って、通うことを決めました。


――キッズドアでのエピソードがあれば教えてください。

高校3年生の受験期のことです。

どの教科もまんべんなく勉強しようと、なんとなく考えていた自分に、当時のボランティアスタッフの方が「なんのために勉強をするのか」と尋ねて来ました。

ただ漠然と勉強をしていた自分にとって、その問いは衝撃的でした。

自分は当時、通訳士を目指していましたが、その夢を後押ししてくれ、自分も勉強することに明確な目的意識を持つことができました。その結果、選択の科目では英語を重点的に学習することができ、成績も上がってきたんです。

キッズドアが、自分の将来を相談できる場所として心のよりどころになったエピソードです。


――キッズドアの活動内容は、生徒にどのようなものをもたらしてくれますか。

勉強が「やらされるもの」ではなく「できるようになる楽しさがあるもの」だと感じられるのはキッズドアでの学習の特徴だと思っています。

ボランティアスタッフとの関りで、自分の力を信じてもらえる、自己肯定感が育まれる。そしてくじけずに頑張れたことが、自分の中で今とても宝になっています。きっと、今の生徒たちもこの先キッズドアのことをそんな風に思い返してくれるのではないでしょうか。


――地方と首都圏の体験格差などは感じたことがありますか。

実際、格差はあると思います。首都圏は進路面でも選択肢が多い印象です。

塾も多いので、勉強するチャンスはきっと東京などの方が多いのでしょう。

東京のキッズドアにお邪魔したことがありました。そこで、生徒の進学先について、当たり前のように有名大学の名前が挙がって驚いた経験があります。

ただ、東京にいなくても、キッズドアの活動によって自分は大学進学という夢が叶いました。家族もすごく助かっています。キッズドアが、自分の未来を広げてくれたという実感が持てているので、仙台でも自分の未来の可能性を広げてくれることは変わらないのではないでしょうか。



――子どもたちに届けたい言葉があれば教えてください。

感謝、です。いつも笑顔で接してくれてありがとうとまずは言いたいです。

自分は初めてこの教室に来た時のあたたかい雰囲気が忘れられません。自分が触れた原体験のように、今の生徒たちにもこの教室をあったかい場所だと感じて楽しんでもらいたいです。

そう思って貰えるように、自分がボランティアスタッフとして活動するとき、例えば生徒に声をかけるときも「このタイミングで来られたらちょっと嫌だったな」とか、勉強の話だけじゃなくて趣味の話やプライベートに共通点があると仲良くなれるな、とかを思い出して行動していて。そうした過去の経験が今、活きていると思います。


――読者の方に伝えたいことはありますか。

自分は「このままでは進学を諦めざるを得ない」と思ったこともありましたが、キッズドアに出会ったことで人生が大きく変わりました。学ぶことによって、未来を変える力が自分にはあるんだと、自信と確信を持つことができたのです。

この記事を読んでくださった方がこの活動に共感してくれて、皆様にキッズドアを支えていただけたら嬉しいです。



地域に根差し、循環する活動


取材をする前は、キッズドア仙台教室において首都圏と地方での地域格差が少なからず課題になっているのではないかと想像する部分もありました。しかし、実際に對馬さんと鈴木さんのお話からは、それらはあまり感じられませんでした。

確かに首都圏に憧れや選択肢の多さなどの実感はあるものの、皆さん仙台という場所に深く根ざし、誇りをもって仙台で活動されていました。

それは、キッズドアの活動が地域格差を埋めるほどの役割を果たしているのだという証拠でもあります。キッズドアが無ければ大学進学や、ひいては自分の夢を誰かに相談して前に進むことさえ難しかったかもしれない生徒たちも居ます。


仙台教室と出会い、夢に向かって進む進学という一歩を踏み出した鈴木さん。彼はキッズドアをよりあたたかい空間にするためボランティアスタッフとしてキッズドアに戻ってきました。ひたむきにボランティア活動に取り組み、生徒と向き合い、かつて自分がしてもらったように今、生徒たちの未来を広げる活動を行っています。――キッズドアが、自分のように一人でも多くの生徒が「かえる」場所になってくれたら。

皆様の寄付による支援は、こうした地域の子どもたちの夢も支え、可能性を大きく広げてくれているのです。


最後に、仙台教室のある生徒の言葉を皆様に届けたいと思います。



――キッズドアはどんな場所ですか。

楽しい!とにかく、楽しいです。友達もできるし、先生たちも面白い。

学校でできない体験学習をすることもできます。

お金がかかると思うと尻込みしてしまうけれど、キッズドアならその心配が無いので楽しく参加することができます。


――キッズドアで楽しかった思い出はありますか。

たくさんありますが、キャンプが一番楽しかったです。皆と一つのテントで寝たことやちょっとしたハプニングなど、いろいろな経験ができました。

キッズドアは進路の不安についても相談に乗ってくれます。面接の話はもちろん、進学して学校に入学したあとの勉強のことまで、親身にアドバイスしてくれるんです。

心理的な不安を解消してくれるので、自分にとってはなくてはならない場所です。


私は将来ものづくりをする仕事に就きたいという夢があります。東京はきっといろいろな学校もあるだろうけど、私は仙台が良い、仙台が大好きなんです!



オルビスは今後も、ペンギンリングプロジェクトを通して様々な活動を行い、子どもたちに笑顔を届けられるように進んでいきます。


キッズドアへ寄付の支援を行う→こちら(寄付ページ)

 
 

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