あのパッケージを描いたのは、困難を生きる子どもたちでした|子どもたちが描いたアートの力
- 7月28日
- 読了時間: 6分

この可愛らしいイラスト、目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
オルビスで長年ご愛用いただいている、鉄分補給ドリンク「グレープFe」のパッケージに使われているイラストです。
お客様からの「このパッケージでまた販売してほしい」という声を受け、5月より再販しています。
実は、このイラストには、ある特別なストーリーがあります。 描いたのは、「ORBIS ペンギンリング プロジェクト」のパートナー団体である子供地球基金がこれまで出会ってきた世界中の子どもたち。
中には、戦争や災害・病気など、さまざまな困難と向き合いながら描いた作品もあります。

平和について思いを巡らせる機会が多い8月。今回は、4枚の作品とその背景をたどりながら、作品に込められた子どもたちの思い、そしてアートを通じて心に寄り添う子供地球基金の活動をご紹介します。
作品を見たとき、皆さまの心にはどんな言葉や気持ちが浮かぶでしょうか。
「Untitled」 フランチェスコ・カルデッリ、9歳、イタリア
もし本当に、銃口から花が咲いたら。

銃は本来、人を傷つけるもの。
けれどこの絵の中では、銃口から飛び出すのは弾ではなく、色とりどりの花です。
「銃から銃弾ではなく花が出れば、人が傷つくことなく、笑顔になるのに」
そんな願いが、この絵には込められています。
武器から花が咲くという大胆な表現は、「力で解決するのではなく、思いやりや優しさで未来をつくりたい」というメッセージを、言葉以上に力強く伝えてくれます。
「爆撃」 コビツァジェトロヴィッチ、12歳、クロアチア
12歳の子どもが描いたのは、自分が見た現実でした。

空一面を覆う黒。崩れた建物。そして、地面に倒れ込む人々。
色彩のないモノクロの世界には、戦争が子どもの心に刻んだ深い傷がそのまま映し出されているようです。
この絵を描いたのは、クロアチア戦争で家族を亡くした12歳の子ども。一枚の紙に、自分が経験した現実を描いています。
子供地球基金は、戦争中から現地で子どもたちへの支援を続けてきました。代表の鳥居さんは、「最初は無表情で、言葉も出ない子どもも多かった」と振り返ります。
それでも、何度も絵を描く時間を重ねるうちに、少しずつ変化が現れてきたといいます。
「子どもは言葉で気持ちを表現することが難しくても、絵なら自然に心の内を描き出せます。心の中に閉じ込めていたものを表現することで、自分に起きた出来事を少しずつ受け止め、生きていくことへ目を向けられるようになるのです」
言葉にならない悲しみや恐怖も、絵なら表現できる。その積み重ねが、子どもたちにとって現実を受け止める時間になっていく――。
子供地球基金が大切にしている「絵を通して子どもたちの心に寄り添う」という活動の意味が、この作品から伝わってきます。
「戦争とわたしの家族」 アニカ・ミクシャ、12歳、クロアチア
「次は自分の家かもしれない」。そんな毎日を想像できますか。

クロアチア戦争当時、空から降るぶどうのような形の爆弾が、くるくると回りながら家や病院を爆撃していたそう。子どもたちは「次は自分たちの家かもしれない」という不安と恐怖の中で日々を過ごしていました。
窓の外を見つめながら、涙を流し、手を合わせる女性。
この作品は、そんな戦争を経験した12歳の子どもが描いたものです。
鳥居さんは、この絵について次のように語ります。
「家の外では爆撃が続き、いつこの家も攻撃されるかという不安を抱き、泣きながら祈る姿です。こんな思いを子どもにさせる社会を、一刻も早くなくしたいものです」
「大切な地球」 ルーカスアントニオダグルスアルース、13歳、ブラジル
世界中のみんなが、同じ地球に暮らす仲間だとしたら。

大きな手で、そっと地球を包み込む太陽。目を閉じて微笑む表情からは、あたたかなぬくもりが伝わってきます。
この絵は、ブラジルの13歳の男の子が描いた作品です。
「地球上に住む全ての国の人々は同じ星に住む仲間です。大きな視点、大きな意識を持って、子どもたちに平和で、この絵のように温かい世界を創っていってほしい」
そう鳥居さんは話します。
太陽が分け隔てなく地球を包み込むように、私たちもまた、違いを越えて互いを受け入れる心を持っていたい――そんな大切なことを思い出させてくれる一枚です。
鳥居さんが以前幼稚園を経営されていたころ、子どもたちは誰とでも分け隔てなく仲良くしていたといいます。肌の色や言葉の違いを気にすることなく、自然に手をつなぎ、笑い合う。その姿に、人と人は本来つながり合えるという想いを重ねたことが、子供地球基金の活動の原点となったそうです。
子どもこそが、世界を変えるカギを握っている。
その純粋なやさしさを信じ、子供地球基金は38年間にわたり活動を続けています。
子どもたちが安心して表現できる場所を
戦争や災害、病気など、子どもたちが置かれている状況は、一人ひとり異なります。
それでも、どの場所でも変わらないのは、自分の思いを受け止めてもらえることが、子どもたちの安心につながるということです。
子供地球基金のワークショップでは、「上手に描くこと」は求めません。大切にしているのは、子どもたちが心のままに、自由に表現できる時間をつくること。一人ひとりの作品に込められた思いを受け止めながら、活動を続けています。

2025年、子供地球基金は国内外で100回のアートワークショップを開催し、10回の展覧会を実施しました。
ロサンゼルスの山火事では、家を失った子どもたちとワークショップを行い、学用品や画材の提供、生活再建に向けた支援も続けています。
こうした活動を通じて、これからも子どもたちが安心して絵を描ける時間を届け続けます。
一枚の絵から広がる、あたたかな循環

子どもたちの作品、いかがだったでしょうか。
毎日の一杯として手に取っていただく「グレープFe」。そのパッケージに込められたストーリーを知ることで、絵を描いた子どもたちや、その先につながる活動に、少しでも思いを寄せていただけたら嬉しいです。
そして、「グレープFe」の売上の一部は、子供地球基金へ届けられ、子どもたちが絵を通して自分の思いを表現する活動に役立てられています。
子どもが描いた一枚の絵が、誰かの心に届き、また別の子どもたちを支える力になる。
子供地球基金が大切にしている「Kids Helping Kids(子どもが子どもを救う)」の輪がこの商品にも息づいています。
毎日の一杯が、遠く離れた場所にいる子どもたちの笑顔や表現の場を未来へつないでいます。
グレープFeはこちら
次に「グレープFe」を手に取るときは、ぜひパッケージにも目を向けてみてください。
一枚の絵に込められた子どもたちの想いが、少し違って見えてくるかもしれません。
今回お話を伺った方

鳥居 晴美
特定非営利活動法人子供地球基金代表
自身の息子を入れたいと思える幼稚園がなかったことを機に、表現教育に特化したインターナショナルな幼稚園「ユニダ・インターナショナル」を開校。1988年に同校のボランティア活動から発展した「子供地球基金」を設立。創造力豊かな子どもたちを育むことを目的に、これまでに世界57ヶ国で3,700回以上のワークショップを行なっている他、病気・戦争・災害などで心に傷を負った子どもたちに画材や医療品など必要な物資を届ける活動を行なっている。活動を通して得られた子どもの絵は企業の商品デザインやカレンダーなどに使われることで基金となり、その基金を世界の子どもたちに還元する「Kids Helping Kids(子どもが子どもを救う」活動は世界的に高く評価され、2018年にノーベル平和賞の候補団体にも選ばれた。


